ニューロメカニクス――ヒトの身体運動の制御メカニズムに関する新たなアプローチ。
「ニューロメカニクス」とは、バイオメカニクス(生体力学)と神経生理学の両概念を統合した造語であり、
ヒトの身体運動の制御メカニズムをより詳細に理解するために著者によって提案された新しい研究分野である。
本書は3部構成となっている。
まず第1部で、ヒトの身体運動が空間と身体部位の機械的相互作用として物理的法則にしたがうことを概説している。
第2部では、神経生理学の基本概念を通して、神経系と筋がどのように運動を生み出すのか、
そのメカニズムの理解を目的としている。
そして第3部では、身体運動に対する反応として運動系による急性適応(ウォームアップ効果や疲労、筋痛など)、
および慢性適応(筋力トレーニング、神経損傷後の運動回復、加齢など)について概説している。
■ 商品仕様
製品名 | ニューロメカニクス 身体運動の科学的基盤 |
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型番 | NS-018 |
JANコード | 9784890134700 |
メーカー | 西村書店 |
製造年 | 2017年 |
【目 次】
■第1部 力と運動の関係
第1章 運動の記述
測定の規則/運動を記述する用語/等加速度運動/放物運動/スカラーとベクトル/
並進運動と回転運動/曲線近似と平滑化
第2章 運動の力
運動の法則/ヒトの身体運動における力の記述/身体質量に由来する力/
周辺環境から受ける力/筋骨格の力
第3章 運動の解析
静的解析/動的解析/運動量/仕事
第4章 走動作,跳躍動作,投動作
歩行と走行/跳躍動作/投動作と蹴動作
■第2部 運動系
第5章 興奮性膜
電気の本質的要素/静止膜電位/ニューロン/シナプス伝達/筋電図
第6章 筋と運動単位
筋/興奮‐収縮連関/運動単位/筋力学
第7章 運動の神経制御
脊髄反射/自動運動/随意動作
■第3部 運動系の適応能力
第8章 急性適応
ウォームアップの効果/柔軟性/筋痛と筋損傷/疲労/筋力の増強/覚醒度
第9章 慢性適応
筋力/筋パワー/活動量低下への適応/神経系損傷後の運動回復/年齢に伴う適応
【著者・総監訳・監訳者】
著■ ロジャー・M・エノーカ
総監訳■ 鈴木秀次(スズキ シュウジ)
監訳■
関口浩文(セキグチ ヒロフミ)
井上 恒(イノウエ コウ)
小川哲也(オガワ テツヤ)
植松 梓(ウエマツ アズサ)
小林裕央(コバヤシ ヒロフミ)
著■ロジャー・M・エノーカ(Roger M. Enoka)
コロラド大学ボルダー校,教養学部統合生理学部門およびコロラド大学デンバー校,医学部(老年医学)神経学部門教授、運動神経生理学研究室室長。クリーブランドクリニック財団の生物医工学部門でバイオメカニクスの研究者として,またアリゾナ大学で生理学部の教授として勤務していた。30年以上にわたって,バイオメカニクスと運動神経生理学を組み合わせることに重きを置いて研究と教育を行ってきた。教育者として,また研究者としての氏の実績は国際的にも知られており,頻繁に引用されている「筋疲労の神経生物学」に関する論文(the Journal of Applied Physiology)をはじめ,およそ350の研究論文,書籍,章,総説,要約などを著している。アメリカスポーツ医学会,アメリカ生理学会,国際バイオメカニクス学会,アメリカ神経科学学会の会員であり、また,アメリカバイオメカニクス学会の現会員であり,過去に学会長を務めている。
総監訳■鈴木秀次(スズキ シュウジ)
早稲田大学人間科学学術院教授。早稲田大学教育学部卒業。1975年ワシントン大学大学院修士課程修了。杏林大学医学部生理学教室講師,早稲田大学人間科学部講師,助教授を経て1996年4月より教授。医学博士(千葉大学)。日本生理学会,日本体力医学会,日本神経科学学会,国際電気生理運動学会,アメリカスポーツ医学会等会員。
A5判・並製・344ページ